今回は筆者自身の就職活動を振り返り、当時悩んでいた『自分の専攻分野にこだわるべきか』という点について考えてみました。
『大学院生』と一口に言っても、修士と博士で全く話が異なると思います。
今回はあくまで、修士卒で就職した筆者の個人的な意見を書きたいと思います。

自分の専攻分野≒就職先という謎の先入観
就職活動を始めた当初の私は、化学専攻で有機合成の研究室に所属していたため、何も疑うことなく、化学メーカーの開発職に就きたいと考えていました。
他の研究室の同級生も、同じように自分の専攻に関係する進路を検討していた事もあり、自分の選択に疑いを持つ事もなく、化学メーカーの内定獲得を目指して就活に励んでいました。
当時は就活市場の解禁が12月、選考開始が4月だったのですが、事前に念入りに準備していた事もあり、4月半ばには、化学メーカーへの内定が一つ決まりました。
しかし、いざ内定が決まった時に、ふと我に返りました。

囁く声
専攻に拘る必要なんてないよ!
そもそもそんなに自分の専攻に拘るなら、覚悟決めてアカデミックの道に進めよ!
希望していた化学メーカーから内定はもらったものの、果たしてこの先の20~30年飯を食っていく仕事を、たった2~3年の目先の経験だけで決めてしまってもいいのか、不安になりました。
就活で院生に求められるものは何か?
そもそも就職活動において院生に求められるものは何でしょうか?
確かに学士卒より高い給与を支払うのですから、企業も院生にそれなりの専門性を求めているでしょう。
しかし、院卒(特に修士卒)の場合、院に入って1年も満たない時期から実質就活が始まり、修士論文を書く前に内定を貰わなければならないスケジュールです。そんな状況下で専門性も何もないのかもしれません。
また、仮に専攻分野にかかわる仕事に着けたとして、一生その事業に従事できるかどうかはわかりません。事業撤退や、他の事業部に転属になるかもしれません。
そう考えると、これまでの自分の『専攻分野≒就職先』という考え方は、当たり前のようで非常に危ういものなのではないかと感じるようになりました。
結論『専攻にこだわる必要なし!自分のやりたい事に目を瞑るな』
悩んだ結果、筆者は再度自己分析をし、本当はどんな仕事がしたいのか考え直し、最終的に電子デバイスメーカに就職したのでした。
(と、偉そうな事を言っておきながら、筆者はその6年後、新卒カードをかなぐり捨てて、転職します(笑))
色々とだらだらと書いてしまいましたが、
結論、大学院生(修士)は自分の専攻にこだわる必要はないと考えます。
就活では、院生の持つ専門性以上に、基礎学力や、物事に対する考え方、主体性、研究スタイルを通して企業に入ってから活躍できそうかというポテンシャル等が重要視されます。
仮説を立て実験計画を立案→実験を実行する→検証結果を考察する→次の目標を設定し、次の実験計画を立てる。この経験は企業におけるPDCA活動とやっている事の本質は全く同じです。
逆に言えば、上記のような企業の重視するポイントを押さえられていれば、多少なり専攻と異なる分野でも、採用される可能性は十分あるのです。
学生の皆さんには、ぜひ自分を本当にやりたい事に目を瞑らず、まずは企業選びを軸をしっかりと決める事をオススメします。
確かに研究室で学んできた事は、取り組んでいて楽しいし、今後も携わりたいと思う。
でも直近の2~3年の研究室での経験だけに固執して、この先何十年という社会人生活の選択肢を狭めてしまっていいのかな。。