キオクシアHD上場はJDIの二の舞になってしまうのか?【企業研究:半導体】

半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス

(旧・東芝メモリホールディングス)が、10月にIPO上場する見込みとなりました。

報道によると、時価総額は3兆円超、今年最大のIPO(新規上場)案件となる見込みです。

一見するとイケイケどんどんな印象も受けますが、実態はどうなのでしょうか?

今回は、今注目の半導体メモリー大手のキオクシアについて、その将来性を筆者の独断と偏見でまとめ、

就職先としてアリなのか、ナシなのか考えてみたいと思います。

キオクシアってどんな会社?

そもそも「キオクシア」と聞いてピンと来る方が、どの程度いるでしょうか?  

キオクシアとは、東芝の半導体メモリ事業を分社化して

設立された東芝メモリが、商号変更した会社です。

https://www.kioxia-holdings.com/ja-jp/top.html

日本語の「記憶」と、ギリシャ語で価値を示すアクシア(axia)に由来する名前で、

東芝から独立した会社として心機一転、「記憶」で

世界を面白くするというミッションを掲げているとのことです。

キオクシアの主力製品は、NAND型フラッシュメモリと呼ばれる半導体メモリです。

私たちの身近には、USBメモリやSDカードのような記憶媒体のほか、

スマートフォンやタブレットにも多く使われています。

近年はパソコンでもHDD(ハードディスクドライブ)の代わりに

SSD(ソリッドステートドライブ)という

NAND型フラッシュメモリを使った記憶装置が使われることが増えています。

フラッシュメモリでは「メモリセル」と呼ばれる記憶素子をより多く配置することで記憶容量を

大きくすることができますが、その際、素子同士をなるべく密に集積することで、

データ転送処理もより高速になり、消費電力の低下も可能となります。

※どれだけ同じ容積の中に高密度にメモリセルを集積できるかがポイントです。

中でも3次元NANDは製造できるメーカが限られているため、現時点では

需要も相まって、利益を出しやすい製品です。

ゲーム機でも、今年発売予定のソニーの「プレイステーション5」や、

マイクロソフトの「XboxシリーズX」にも搭載されますし、

5G通信の普及や、業務のテレワーク化が拡大していくと、

より高速で大容量のデータ通信が必要となります。

一節には2020年現在550憶ドル規模のフラッシュメモリ市場も、

4年後の2024年には、1100憶ドルにまで膨れ上がると言われており、

今後もさらに需要の拡大が期待されています。

キオクシアの業績、将来性 危険因子は中国?

経営状況・業績

今後、5G通信やテレワークが拡大すればメモリの需要が増大することはわかりました。

一方で足元のキオクシアの業績はどうなのでしょうか?

引用:東芝メモリ株式会社 2019年3月期決算資料
引用:キオクシア株式会社 2020年3月期決算資料

2018年3月期には売上高12,294億円、営業利益4,568億円という驚異的な業績を上げた東芝メモリですが、

直近の2020年3月期には営業利益 -1,731億円の赤字を計上しています。

赤字に転落した主な要因として、売上高の急激な下落と、新規設備投資が考えられます。

半導体業界で利益を出すためには、

常に工場の稼働率を高い状態で維持し、製品を作り続ける必要があります。

一定以上稼働率下がり、損益分岐点を割ってしまうと当然ながら赤字になります。

今回、サムスンが意図的なダンピングを行い、市場の需給バランスが崩れた事が

一因と考えられますが、それにしても1年で3000億円も売上がバラつくと、会社としても

どれだけ生産量を調整しても、赤字は回避できないでしょう。

現状、NANDはサムスンに次、世界第2位ですが、

今後、サムスンや、SKハイニックス、マイクロンテクノロジー等のライバルとの

シェア争いにどこまで追従していけるかが生き残れるかどうかのポイントだと思います。

次に、歩留まりが重大なファクターなります。

3次元NAND型フラッシュメモリのプレイヤーが現状限られているのは、

高集積化されたメモリは、歩留まりを挙げる事が難しく、豊富な量産実績が必要だからです。

単純に1兆円分の原価を費やして、歩留まりが10%だった場合、1000億円分は不良品、

使い物にならなくなるのです。

この歩留まりをいかに高い水準で保てるかも勝負のカギです。

半導体業界では、たびたび巨額な投資が行われ、新世代のメモリ工場が新設されています。

そもそも、数年で巨額投資が必要な事業形態に追随できるか。という事も重要ですが、

新設備をいかに早く立上げ、歩留まりよく量産できるか重要な要素なのです。

例えばApple社が、2020年10月に新製品を発売するとして、そこには新世代のフラッシュメモリが数千台規模で必要になります。

メモリ会社3社がサプライヤとしてAppleにメモリを供給するとして、まず考えなければならない事は

ライバルの誰よりも早く量産立ち上げをし、真っ先にAppleに部品を納入する事です。

1ヶ月ライバルより量産開始できれば、先行者利益を多分に得ることができるからです。

ライバル会社に対して、歩留まりよくNANDを歩留まりよく生産できるプロセス技術を有しているので

あれば少なくとも、今後2~3年は持つのではないでしょうか。

最大の課題はNAND一本足打法

私個人の疑問としては、メモリ専業の会社であるなら、なぜDRAMを生産しないのか?という点です。

ライバルのサムスンやSKハイニクス、マイクロン・テクノロジーは

全てDRAMとNANDを両方製造することができます。

このため、仮にNANDの需要が落ちても、DRAMで収益を上げる事ができます。

DRAMは従来のコンピュータ用途に加え、AIにもDRAMは欠かせない存在です。

キオクシアだけがNANDしか持たない1本足打法をとっており、いささか不安です。

※業界は違えど、一本足打法のIPOには前科があります。

そもそもDRAMとNANDでは用途が異なります。

DRAMは何度でも書き換えられるメモリで

書き換え速度も読み出し速度も、NANDより高速です。

ただし、電源を入れている時しかデータを記憶できないため、

コンピュータを動作させている時は、演算器(CPU)とセットで使う必要があります。

一方、NANDは書き換え回数が少なく、

DRAMよりは書き換え、読み出し速度は遅いです。

ただし、DRAMよりも大容量にでき、電源を消しても記憶状態が保たれる(不揮発)ため、

データ保存に向いているのです。

どちらもメモリとして特性が異なりますが、DRAMとNANDは分野がバッティングすることはありません。

2020年のキオクシアの業績からも分かるように、

正直なところ現在のNANDを取り巻く市況は微妙で、弱含む可能性があります。

NANDはもちろん、DRAM、SRAM、SCM等多様なメモリがあるが、

中長期的にNAND以外にも事業拡張していけるかがポイントだと思います。

また、キオクシアの行く末を占う上で、無視できないのが、

中国国有企業の半導体メーカー、紫光集団の動向です。

彼らは中国共産党をバックに毎年莫大な開発投資を行い、

ものすごい勢いでキャッチアップしてきます。

いずれ追い付かれ、脅威となる事は免れない戦いにどう挑むのかが焦点となるでしょう。

就職先としてのキオクシア

上記の事を踏まえて、学生が就職先として正直どうなのか?

独断と偏見で考えてみます。

あくまで、私の個人的な意見ですが、

若手社員がエンジニアとしてのキャリアを積むには『アリ』だと思います。

半導体業界は製品開発スパンが短く、不具合も多いため、往々にして忙しく

人手が足りないのが運命です。

工場を新設し、量産立ち上げをするとなると尚更です。

一般的な大手電機メーカーでは、やはり未だに年功序列の傾向がありますが、

こういった企業は、若手の内からどんどん実務に携わって、実績を積むことができるでしょう。

また、東芝を源流に持つ企業ですので、

しっかりとした技術的なバックボーンを持つエンジニアがたくさんいます。

シックスシグマを元としたDMAICといったモノづくりへの考え方もあり、

若手エンジニアが経歴を積むには申し分ない環境と言えるでしょう。

※ただし、前項の通り、業績の浮き沈みが激しいことと、いずれサムスンも含め、

この業界は中国に飲み込まれる可能性が高いと考えています。

※ただし、事業が無くなることはないでしょう。

社名や株主が変わる事はあるかもしれませんが、、

そういった移り変わりの激しい業界でも大丈夫!な方、

変化を常に楽しみながら、仕事に取り組める方にピッタリな会社だと思います!

是非、就職・転職先の一つとして検討してみてはいかがでしょうか?

最後まで目を通していただきありがとうございました!

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