【公募割れの可能性大】キオクシア(旧・東芝メモリ)IPO上場の初値予想してみた

溜池ジロ

半導体大手キオクシアホールディングスのIPO上場について、

9/17付で公募価格の仮条件が公表されました。

前評判では上場時の時価総額3兆円超えとも謳われていましたが、

果たしてどうなるのでしょうか?

キオクシアHD、10/6にIPO上場予定も公募割れの可能性

※9/28付で上場が延期となりました。予想通りというか、公募割れ確実なこの情勢で上場はやはりあり得ないという判断でしょう。上場する方針はベイン・キャピタルとしても変わっておらず、今後の動向に注目です。

※9/17付で半導体大手キオクシアホールディングス(旧東芝メモリホールディングス)のIPO上場に伴う公募売り出し・価格の仮条件が発表されました。

仮条件:1株 2800~3500円

上場承認時の想定発行価格3960円から引き下げられています。

仮条件から試算した時価総額は1兆5093億~1兆8867億円ですので、当初予定していた承認時の時価総額、2兆1千億円から大幅に縮小する可能性があります。

 取引先である中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)に対する米国の制裁強化が影響したとみられており、スマホや通信機器に使用されるNAND型フラッシュメモリーの売上に大きな打撃となることが考えられます。(ファーウェイはAppleを抜いて、現在スマホの出荷数世界2位のメーカ―でもあります)

正式な公募価格を28日に10月6日に上場する予定です。

溜池ジロ

キオクシア自体の将来性もさることながら、、少しタイミングが悪い印象を受けます。

キオクシアとは 

キオクシアの前進は1987年に東芝(6502)の社内事業としてスタートしています。

世界初のNADN型フラッシュメモリの発明、製品化を実現するなど、メモリ分野ではトップレベルの技術を持っています。
 

 2017年に、東芝の粉飾決算による債務超過解消のため、半導体メモリ事業が売却し、「東芝メモリ」として独立した会社が誕生します。主な売却先は、日米韓企業連合が設立した買収目的会社Pangeaです。

 その後、2019年に単独株式移転により持株会社化し、キオクシアホールディングスに社名変更しています。

つまり、キオクシアとは、東芝の半導体メモリ事業を分社化して

設立された東芝メモリが、商号変更した会社です。

https://www.kioxia-holdings.com/ja-jp/top.html

日本語の「記憶」と、ギリシャ語で価値を示すアクシア(axia)に由来する名前で、

東芝から独立した会社として心機一転、「記憶」で

世界を面白くするというミッションを掲げているとのことです。

キオクシアの主力製品は、NAND型フラッシュメモリと呼ばれる半導体メモリです。

私たちの身近には、USBメモリやSDカードのような記憶媒体のほか、

スマートフォンやタブレットにも多く使われています。

近年はパソコンでもHDD(ハードディスクドライブ)の代わりに

SSD(ソリッドステートドライブ)という

NAND型フラッシュメモリを使った記憶装置が使われることが増えています。

フラッシュメモリでは「メモリセル」と呼ばれる記憶素子をより多く配置することで記憶容量を

大きくすることができますが、その際、素子同士をなるべく密に集積することで、

データ転送処理もより高速になり、消費電力の低下も可能となります。

※どれだけ同じ容積の中に高密度にメモリセルを集積できるかがポイントです。

中でも3次元NANDは製造できるメーカが限られているため、現時点では

需要も相まって、利益を出しやすい製品です。

ゲーム機でも、今年発売予定のソニーの「プレイステーション5」や、

マイクロソフトの「XboxシリーズX」にも搭載されますし、

5G通信の普及や、業務のテレワーク化が拡大していくと、

より高速で大容量のデータ通信が必要となります。

一節には2020年現在550憶ドル規模のフラッシュメモリ市場も、

4年後の2024年には、1100憶ドルにまで膨れ上がると言われており、

今後もさらに需要の拡大が期待されています。

キオクシアの業績、将来性 危険因子は中国?

経営状況・業績

※追記:ファーウェイへの出荷停止処置を受け、キオクシアの業績にも大きな影響が及ぶと考えます。

上場後の第1,2四半期の業績は非常に厳しいものが容易に予想でき、長期保有には不向きと考えます。

今後、5G通信やテレワークが拡大すればメモリの需要が増大することはわかりました。

一方で足元のキオクシアの業績はどうなのでしょうか?

引用:東芝メモリ株式会社 2019年3月期決算資料
引用:キオクシア株式会社 2020年3月期決算資料

2018年3月期には売上高12,294億円、営業利益4,568億円という驚異的な業績を上げた東芝メモリですが、

直近の2020年3月期には営業利益 -1,731億円の赤字を計上しています。

赤字に転落した主な要因として、売上高の急激な下落と、新規設備投資が考えられます。

半導体業界で利益を出すためには、

常に工場の稼働率を高い状態で維持し、製品を作り続ける必要があります。

一定以上稼働率下がり、損益分岐点を割ってしまうと当然ながら赤字になります。

今回、サムスンが意図的なダンピングを行い、市場の需給バランスが崩れた事が

一因と考えられますが、それにしても1年で3000億円も売上がバラつくと、会社としても

どれだけ生産量を調整しても、赤字は回避できないでしょう。

現状、NANDはサムスンに次、世界第2位ですが、

今後、サムスンや、SKハイニックス、マイクロンテクノロジー等のライバルとの

シェア争いにどこまで追従していけるかが生き残れるかどうかのポイントだと思います。

次に、歩留まりが重大なファクターなります。

3次元NAND型フラッシュメモリのプレイヤーが現状限られているのは、

高集積化されたメモリは、歩留まりを挙げる事が難しく、豊富な量産実績が必要だからです。

単純に1兆円分の原価を費やして、歩留まりが10%だった場合、1000億円分は不良品、

使い物にならなくなるのです。

この歩留まりをいかに高い水準で保てるかも勝負のカギです。

半導体業界では、たびたび巨額な投資が行われ、新世代のメモリ工場が新設されています。

そもそも、数年で巨額投資が必要な事業形態に追随できるか。という事も重要ですが、

新設備をいかに早く立上げ、歩留まりよく量産できるか重要な要素なのです。

例えばApple社が、2020年10月に新製品を発売するとして、そこには新世代のフラッシュメモリが数千台規模で必要になります。

メモリ会社3社がサプライヤとしてAppleにメモリを供給するとして、まず考えなければならない事は

ライバルの誰よりも早く量産立ち上げをし、真っ先にAppleに部品を納入する事です。

1ヶ月ライバルより量産開始できれば、先行者利益を多分に得ることができるからです。

ライバル会社に対して、歩留まりよくNANDを歩留まりよく生産できるプロセス技術を有しているので

あれば少なくとも、今後2~3年は持つのではないでしょうか。

最大の課題はNAND一本足打法

私個人の疑問としては、メモリ専業の会社であるなら、なぜDRAMを生産しないのか?という点です。

ライバルのサムスンやSKハイニクス、マイクロン・テクノロジーは

全てDRAMとNANDを両方製造することができます。

このため、仮にNANDの需要が落ちても、DRAMで収益を上げる事ができます。

DRAMは従来のコンピュータ用途に加え、AIにもDRAMは欠かせない存在です。

キオクシアだけがNANDしか持たない1本足打法をとっており、いささか不安です。

※業界は違えど、一本足打法のIPOには前科があります。

そもそもDRAMとNANDでは用途が異なります。

DRAMは何度でも書き換えられるメモリで

書き換え速度も読み出し速度も、NANDより高速です。

ただし、電源を入れている時しかデータを記憶できないため、

コンピュータを動作させている時は、演算器(CPU)とセットで使う必要があります。

一方、NANDは書き換え回数が少なく、

DRAMよりは書き換え、読み出し速度は遅いです。

ただし、DRAMよりも大容量にでき、電源を消しても記憶状態が保たれる(不揮発)ため、

データ保存に向いているのです。

どちらもメモリとして特性が異なりますが、DRAMとNANDは分野がバッティングすることはありません。

2020年のキオクシアの業績からも分かるように、

正直なところ現在のNANDを取り巻く市況は微妙で、弱含む可能性があります。

NANDはもちろん、DRAM、SRAM、SCM等多様なメモリがあるが、

中長期的にNAND以外にも事業拡張していけるかがポイントだと思います。

また、キオクシアの行く末を占う上で、無視できないのが、

中国国有企業の半導体メーカー、紫光集団の動向です。

彼らは中国共産党をバックに毎年莫大な開発投資を行い、

ものすごい勢いでキャッチアップしてきます。

いずれ追い付かれ、脅威となる事は免れない戦いにどう挑むのかが焦点となるでしょう。

親子上場になる?

キオクシアホールディングスの主要株主と持ち株比率は以下の通りです。

主要株主持ち株比率
BCPE Pangea Cayman,L.P.49.9%
株式会社東芝40.2%
HOYA株式会社9.9%

 

 東芝は、キオクシアの未だ約4割の株式を保有しており、

キオクシアは東芝の関連会社(持分法適用会社)です。

多くの議決権を持っているので、東芝がキオクシアの経営に口出し出来る状態です。

今回のキオクシアの上場も、ある種の親子上場と言えるでしょう。

 東芝は、キオクシアのIPO上場で「約2割の株式を売却し、株主還元に充てる」と事前に発表しており、

その発表を受けて、株価が一時4%以上急騰しました。

キオクシアの上場時の条件によっては東芝の株価も多少なり影響を受けることは避けられないでしょう。

また、キオクシアの上場後も、東芝はキオクシア株の3割以上を保有し続けるとの事ので、キオクシアの業績が東芝にも影響を及ぼします。

初値予想


 想定価格3,960円に対して、仮条件は2,800円~3,500円と大幅に下回っています。

想定価格が割高で、需要が集まらないと判断された可能性が高いです。

 過去の事例を見ると、仮条件が想定価格を大きく下回った案件では、公募割れの危険性が高まります。

今後、公募価格が仮条件の上限で決まらない場合、さらに公募割れの危険性が高くなります。

※また、ファーウェイ向け輸出規制の悪材料について、目論見書には、ファーウェイ向けが第1四半期全体売上の相当程度占める。とあり、上場後の第1、第2四半期の決算は相当厳しいものとなることが予想されます。
 

そのため、キオクシアの初値予想を公募価格比-10%~+5%程度と予想します。

溜池ジロ

今回のファーウェイへの出荷停止規制の事の重大性を考えると、、

仮条件の引き下げ程度で済む話だとは、私は思えません。。

公開株数、ロックアップについて

公開株数


 公開株数が多いほど、初値は上がりにくい傾向があります。

初値は売買のバランスで決まるので、

公開株数が多いと上場日に売り注文が増える可能性が高くなってしまうからです。
 

今回の場合、合計「33,431,400株」が公開株数です。

既存株主の売出しは、大半が海外売出しとなったので、公開株数はかなり抑制されていますので、この規模であれば、いきなり需給のバランスが大きく崩れることは無いと考えます。

ロックアップ

IPOでは、既存株主が売りに出せないように「ロックアップ期間」を設けることがあります。

上場してすぐに大量の売りを出されると、

IPOで買った株主が損をしてしまうので、一定期間は売れないように合意している場合があります。

今回は、主要株主と新株予約権者に一定期間でロックアップが設定されており、

株価による解除条件もありません

既存株主が初日から大量の売り注文を出す心配は無いでしょう。

キオクシアHDが上場延期、ファーウェイへの米制裁が影響

9月27日付の報道で、10月6日に予定されていた東京証券取引所への新規株式公開(IPO)を延期する方針を固めたとの事です。

予想通り、取引先の華為技術(ファーウェイ)に対する米国政府の制裁強化で、キオクシアの業績にも不透明感が高まっていることが一因とされています。。

  28日に上場に向けて株式の公開価格を発表する予定だったが、同日にも上場の延期を発表する可能性があるとの事。

  キオクシアHDと筆頭株主の米投資ファンドのベイン・キャピタル率いる日米韓連合は今後も上場を目指す方針を維持し、米中摩擦の沈静化やファーウェイへの出荷再開が可能になる時期をなどを探りながら、上場再申請のタイミングを見計らうことになりそうだということです。

まとめ

上述したように、仮条件が想定価格を大きく下回ったため、公募割れの危険性が出てきました

公募価格が仮条件の上限で決まらない場合、さらに公募割れの危険性が高まります。

※やはりファーウェイへの出荷停止命令の影響が大きいと考えます。

長期的に見れば、メモリの需要は増えるので、会社自体は存続していくと思いますが、今後ずっと設備投資を続けていけるか、NAND1本足打法から抜け出せるか等、課題は多いように思います。

足もとの業績も芳しくないことから、初値は公募価格比-10%~+5%程度と予想します。

※9/28付で上場が延期となりました。予想通りというか、公募割れ確実なこの情勢で上場はやはりあり得ないという判断でしょう。上場する方針はベイン・キャピタルとしても変わっておらず、今後の動向に注目です。

溜池ジロ

とはいえ、やっぱり長期保有はオススメできないかな。。

どうしてもジャパンディスプレイのIPOを連想してしまうのは私だけでしょうか?

ここまで目を通していただきありがとうございました。

予想外したらすみません!

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