- 将来は航空・宇宙産業に携わりたいと考えており、どんな企業・メーカーがあるか知りたい!
- 子供の頃から宇宙に興味がある、JAXAやNASAと一緒に仕事がしたい!
当サイトでは、航空・宇宙産業に携わりたい、興味がある方に向けて、実際にJAXAやNASAのプロジェクトに携わっているメーカーを調査し、紹介していきたいと思います!
どんな会社が、どんな部品を担当しているかはもちろん、企業の財務状況などについても情報まとめていきますので、ぜひ参考にしてみてください。
記念すべき第1回は、今年12月6日に地球へ帰還予定の小惑星探査機『はやぶさ2』に関する企業について、まとめてみました。
目次(押すとジャンプするよ)
はやぶさ2プロジェクトとは?
「はやぶさ2プロジェクト」とは、小惑星探査機「はやぶさ」の後継機の名前である「はやぶさ2」を使い、小惑星から鉱物などのサンプルを地球に持ち帰るJAXA(宇宙航空研究開発機構)の主導するミッションの事です。
「はやぶさ」は近地球型とよばれる小惑星「イトカワ」を探査しました。この計画を通して、小惑星から表面の物質(サンプル)を地球に持ち帰る技術(サンプルリターン)を実証しました。
小惑星からその表面物質を持ち帰ったことは、世界初の大偉業でしたが、そのミッションには多くのトラブルがありました。
「はやぶさ2」では、「はやぶさ」の経験を生かして、よりトラブルの少ない確実なミッションを目指し、機器やシステムをはじめ、様々な改良が施されています。
「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワ(S型)とは別の種類の小惑星リュウグウ(C型)を探査することにより、惑星の起源だけでなく地球の海の水の起源や、生命の原材料をも探求するのが「はやぶさ2」のミッションです。

「はやぶさ2」は、基本的には「はやぶさ」で行ったミッションを踏襲していますが、確実にミッションを行えるよう、信頼性を高める様々な改良が加えられています。
代表的な新技術の一つに、意図的に小惑星表面に人工的なクレーターを作り、地下のサンプルを持ち帰るというものがあります。以下がその実験映像です。
インパクターと呼ばれる衝突装置を火薬を使って、小惑星に打ち込み、人工クレーターを作ります。※兵器を作ってるんじゃないですよ(笑)
衝突装置は日本飛行機(NIPPI)、火薬は日油技研、サンプル採取装置は住友重機械工業が担当しています。
このような今までに実装したことのない技術を盛り込み、天体探査技術を向上させることも、「はやぶさ2」の重要な目的です。
また、「はやぶさ」が探査した小惑星イトカワと異なり、「はやぶさ2」が探査を行う小惑星リュウグウはC型小惑星に分類されています。
C型小惑星には、太陽系が生まれた、今から約46億年前の水や有機物が多く含まれていると考えられており、水や有機物の起源を解明するのも目的の一つです。

さらに、最初にできたと考えられる微惑星の衝突・破壊・合体を通して、惑星がどのように生まれたのかを調べることも「はやぶさ2」の目的です。
つまり、「はやぶさ2」は、太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫る、壮大なミッションなのです。
「はやぶさ2」は2014年12月3日に打ち上げられ、2015年12月3日の地球スイングバイを経て、2018年6月27日に小惑星リュウグウに到着しました。
そして、2019年末にリュウグウを出発し、2020年12月6日に地球に帰還する予定です!
※現在『はやぶさ2プロジェクト』では、一般からの応援メッセージを募集しています!ぜひ参加しましょう!
・募集期間:2020年9月2日~2020年末
・ツイッターの場合には、ハッシュタグ「#はやぶさ2地球帰還」を記載してください。

携わっているエンジニア、スタッフ一人一人の熱量が凄い!
夢とロマンしかない。最高かよ。。(マジで憧れます)
小惑星探査機『はやぶさ』(MUSES-C)の担当主要企業・メーカ―
「はやぶさ」(MUSES-C)は、小惑星探査を目的に開発された探査機です。小惑星から土壌サンプルを持ち帰ることで、太陽系誕生のルーツを解明することが目的です。
2010年6月に地球へ帰還し、搭載カプセルをオーストラリアへ落下させ、その運用を終えました。現在、持ち帰ったイトカワ微粒子の分析が進められています。
※はやぶさ2は、はやぶさの設計仕様をベースに改良を加えた小惑星探査機です。今回は調査の都合上、はやぶさの担当メーカを記載しています。はやぶさ→はやぶさ2でのサプライヤチェンジ等は反映できていません。

部位 | 担当部品・システム | 企業名 |
全体 | 衛星システム・インテグレーション全般 | NEC |
① | イオンエンジン | NEC |
② | 科学エンジン | 三菱重工業 |
③ | 蛍光X線分光計 | 明星電気 |
④ | サンプル採取関連装置 | 住友重機械工業 |
火工品 | 日油技研工業(NiGK) | |
衝突装置(SCI)、再突入カプセル、サンプラホーン | 日本飛行機(NIPPI) | |
⑤ | 耐熱性カプセル | IHIエアロスペース |
⑥ | カプセル用パラシュート | 藤倉航装 |
⑦ | 衛星バスシステム(太陽電池パドル、GPSアンテナ等) | NEC |
リチウムイオン電池 | 古河電池 | |
サーボ加速度計 | 日本航空電子工業 | |
⑧ | 地上アンテナ | 三菱電機 |
⑨ | 位置計測システム | 富士通 |
上図が小惑星探査機『はやぶさ』の外観と、各部位の部品やシステムを担当している企業です。このリストに掲載されているのは10社程度ですが、2次、3次のサプライヤーも含めると、99社の日本企業が『はやぶさ』の開発・運用に関わったとの事。宇宙産業の裾野の広さがよくわかりますね。
ロケットや、人工衛星はもちろん、『はやぶさ』のような探査機は、多数の機器・部品で構成される総合システムです。
大小様々な部品・機器を一つ一つ製造し、探査機へ組立完成させるため、高い技術力を持った多くの企業が活躍しています。
これらの企業は、JAXAとパートナーシップを組み、開発を進めており、それ自体が各企業の技術力を示すバロメータになっていると言えますね。
※今回は代表的な企業しか取り上げられていませんが、実際には上述したように100社余りが協力することで、探査機の開発が成り立っています。
例えば、三菱重工の化学推進エンジンに使用されているエンジンオイルは○○製で~など、今後は、よりニッチな企業の情報も随時更新していきたいと思いますので、ぜひ注目して頂ければと思います!

部品供給という立場だとしても、
『俺、JAXAや、NASAと仕事してるんだ』って格好いいですね!
小惑星探査機『はやぶさ』(MUSES-C)の担当メーカ― 財務状況
完全に独断と偏見ですが、
例によって当サイトではおなじみの3つに指標で企業の財務状況を見てみましょう。
『宇宙産業に携わる=やりたい仕事ができる』だけではなく、+αで給与が高かったり、福利厚生が充実している企業を見つけてほしいという思いです。
- 粗利率:損益計算書の売上高と、売上原価のみ見ています。粗利率が良い=原価が安く済む、儲かる商売ということになります。
- 営業利益率:メーカの主たる業務(本業)での儲け。粗利から販売管理費を抜いた値です。
- 従業員一人当たりの営業利益:従業員数を加味した指標が欲しかったので、勝手に作りました。以下の記事でもこの指標用いて100社以上比較しましたが、一人当たりの営業利益が高い=当然儲かっている企業なので、ボーナスや給料が良い傾向が如実にあります。
以下が『はやぶさ』関連企業の財務指標です。各企業の有価証券報告書や決算公告からデータを引用し、私の独断でまとめました。
企業名 | 粗利率 | 営業利益率 | 従業員一人当たりの 営業利益(円) | 備考 |
NEC | 28.7% | 4.1% | 1,132,900 | ー |
三菱重工業 | 17.6% | -0.7% | -361,800 | ー |
明星電気 | 22.4% | 7.2% | 1,669,516 | 宇宙産業 従業員比18% |
住友重機械工業 | 22.5% | 6.6% | 2,404,100 | ー |
日油技研工業(NiGK) | 29.5% | 13.0% | 3,256,173 | 宇宙産業 従業員比13% |
日本飛行機(NIPPI) | 15.8% | 8.4% | 1,902,527 | ー |
IHIエアロスペース | 16.7% | 5.8% | 3,252,000 | ー |
藤倉航装 | NO DATA | NO DATA | NO DATA | 純利益 1億4307万黒字 |
古河電池 | 29.9% | 5.1% | 899,502 | ー |
日本航空電子工業 | 14.6% | 5.4% | 1,235,022 | ー |
三菱電機 | 28.3% | 5.8% | 1,772,200 | ー |
富士通 | 28.8% | 5.5% | 1,638,500 | ー |
特に目を引くのが『日油技研工業』です。化学メーカー『日油』のグループ企業にあたり、ロケットに装着される点火用および分離用の各種火工品を開発・製造しています。
元々、日油が、ペンシルロケット(1955年)から始まった日本の全ての宇宙ロケット用固体推進薬を提供しているため、この分野で非常に強い優位性を持っています。※別途記事にしたいと思いますが、日油も、日本の宇宙産業になくてはならない材料メーカーです。
他に火工品に特化したメーカがない+参入障壁が高いため、13%という高い利益率を出せているのだと思います。宇宙産業へ就職・転職を検討中の方は、視野に入れてみてはいかがでしょうか?
また、明星電気はIHI、日本飛行機は川崎重工業、藤倉航装はフジクラのグループ企業であり、どの会社も巨大な親企業がバックについており、安定している印象です。大企業になればなるほど、事業部の数も増え、採用人数も増えるため、自分が携わりたい分野に配属される可能性も低くなります。
もし、明確に自分のやりたいことがあり、その内容にマッチする企業であれば、上記のような小粒でもキラリと光る企業を選択するのもオススメです!
まとめ

今回は『はやぶさ2』を支える日本の企業について紹介しました!
ぜひ、就職・転職の際には宇宙業界を視野に入れてみてください!
♪素晴らしい人生だから ~ 自分を愛する勇気を持とう♪
(誰か!同世代に刺され!!
今回は『はやぶさ2』の担当企業を紹介しました。就職・転職を検討する上で、少しでも企業選びの視野が広がれば幸いです。
次回以降は、ロケットや人工衛星などのサプライヤーについても記事にしていきたいと思いますので、連載を応援していただける方は、ブクマかSNSで拡散お願いします!(笑)
ここまで目を通していただきありがとうございました!
♪素晴らしい人生だから ~ ↓元ネタ

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今回は宇宙産業に携わる企業について調べてみました。
年末には、昨年話題となった『はやぶさ2』が地球に帰還予定です。
宇宙産業の活況には、未知の世界への夢やロマンだけでなく、『宇宙資源』が深く関係しています。
アメリカの月探査ベンチャーAstroboticの試算によると、月面資源探査の市場規模は2025年に2400億円、2040年には6300億円になるとの試算です!!