【21/22卒】航空・宇宙業界『火星探査計画(MMX)』プロジェクト担当企業を紹介!

溜池ジロ

今回は『宇宙産業に携わる企業について調べてみたシリーズ』の第2弾ということで、

2024年に打ち上げを予定している火星衛星探査計画『MMX』について調べてみました。

現在、火星や火星の衛星を対象に、表面調査、サンプルリターンなどを行う計画が各国で進められています。

2020年7月には、UAE、中国、アメリカの3カ国の火星探査機が相次いで打ち上げられました。国際競争の厳しく技術革新の目覚ましい分野です!

✓こんな方に読んで欲しい!
  • 将来は航空・宇宙産業に携わりたいと考えており、どんな企業・メーカーがあるか知りたい!
  • 子供の頃から宇宙に興味がある、JAXAやNASAと一緒に仕事がしたい!

当サイトでは、航空・宇宙産業に携わりたい、興味がある方に向けて、実際にJAXAやNASAのプロジェクトに携わっているメーカーを調査し、紹介していきたいと思います!

どんな会社が、どんな部品を担当しているかはもちろん、企業の財務状況などについても情報まとめていきますので、ぜひ参考にしてみてください。

第2回は、2024年に打ち上げ予定の火星探査計画『MMX』と、その関連企業について、まとめてみました!

火星探査計画『MMX』プロジェクトとは?

プロジェクトの概要

火星探査計画MMX」とは、火星の衛星(フォボスとダイモス)を探査し、表面物質を地球に回収(サンプルリターン)するJAXA(宇宙航空研究開発機構)の主導するミッションの事です。

地球からおよそ6000万キロ離れた火星に向けて、1年かけて航行し、火星の衛星に着陸、サンプルを回収するという途方もない計画です。(東京-大阪間を往復約1000キロとすると、6万往復。。)

現在は2024年9月打上げ、2025年8月火星周回軌道投入、2029年9月地球帰還の約5年と想定して計画が進められています。

MMXの軌道想定図 ©JAXA

火星衛星フォボスについて

ファボスのイメージCG ©JAXA

上の図は火星衛星フォボスのイメージCGです。約13km×11km×9kmの楕円体に近い形をしています。なぜこのような具体的な寸法がわかっているのでしょうか?

実は、今から約50年前の1971年には、既にアメリカの火星探査機マリナー9号によってフォボスの鮮明な姿が撮影されているのです。

1980年代にはソ連がフォボスへの接近及び着陸探査計画を試みており、1988年に打ち上げられたソ連の探査機フォボス2号は、翌年には火星の周回軌道に入ることに成功しています。

しかし、残念ながら、当初予定していた小型着陸機の投下計画はフォボスへの接近中に故障してしまい、失敗に終わっています。

2011年に打ち上げられたロシアの探査機フォボス・グルントも、フォボスからのサンプルリターンを計画していたが、地球周回軌道からの離脱に失敗し、火星周回軌道に辿り着くまでもなく頓挫しています。

もし今回のMMX計画で、火星衛星フォボスの探査、サンプルリターンに成功すれば、世界初の偉業となります。

溜池ジロ

成功すれば、宇宙産業に携わる方にとっては、50年越しの悲願なんですね。

最近Netflixで『プラネタス』全話観たので、凄くワクワクしてます(笑)

自分も宇宙産業関連の仕事してみたい人生だった。。

MMXプロジェクトに携わる日本企業

MMX計画では、探査機システム、ミッション機器の開発に、海外の宇宙機関、企業、大学・研究機関などのサイエンスコミュニティが幅広い協力・推進体制を構築しています。

参画している企業に関して、ニュースや各企業のプレスリリースなどで明らかになっているものに関してまとめてみました。

三菱電機…MMX探査機システムの開発・設計

三菱電機 会社HPより引用

今回、MMX探査機システムの開発・設計を担当するのは『三菱電機』です。

下図がMMX探査機システムのイメージ図になります。探査機システムを構成する各部品は、三菱電機以外のパートナー企業から調達することになりますが、ミッションの生命線ともいえる探査機システム構築を三菱電機が一手に担うことになります。

※ちなみに2019年に話題となった『はやぶさ2』の探査機システムの開発・設計はNECが担当しています。はやぶさ2のパートナー企業はこちら

MMX探査機システムのイメージ図©JAXA

MMX探査機システムの特長

  1. 三菱電機の人工衛星技術を結集し、世界初の火星衛星往還ミッションに貢献
  2. 「ピンポイント着陸技術」などにより、未知の火星衛星への確実な着陸に寄与
    • 火星衛星表面でのサンプル採取のためには、確実に衛星の着陸・降下する必要があります。SLIMで開発を進めている「ピンポイント着陸技術」がMMX計画には不可欠なのです。また、新開発の衝撃吸収機構や着陸脚構造により、重力が小さな火星衛星への複数回着陸が可能となっています。
  3. 探査機の最適なシステム設計と軌道設計により、運用の効率化と軽量化を実現
    • 探査機システムの構成を、火星近傍到着までの往路モジュールと火星衛星探査のための探査モジュール、地球に帰還する復路モジュールの3モジュール構成とし、役目を終えた機能を切り離すことで運用の効率化と軽量化を実現しています。
    • ロケットの打上能力範囲内に収めるため、最適な軌道設計により打上時質量の半分以上を占める推薬(燃料)を最小化しています。

溜池ジロ

SLIMに使用される着陸技術や、HTVで既に実績のある誘導制御技術など、三菱電機の保有技術とMMX計画のミッション遂行に必要な技術がマッチしたことが、三菱電機がシステムの開発・設計を一手に任された理由のようですね。

失敗が許されないミッションで実績があるかないかは大きな差ですからね。。

三菱重工…打ち上げロケット

三菱重工 会社HPより引用

打ち上げロケットには三菱重工JAXAが共同開発している新型ロケットH3ロケットが採用される見込みです。

現在は、まだ開発段階ではありますが、2021年度に種子島宇宙センターから試験機1号機の打ち上げを予定している次世代の大型ロケットであり、以下の3つの特徴があります。

柔軟性(High flexibility)

複数の機体形態を準備し、利用用途にあった価格・能力のロケットを提供します。

また、受注から打ち上げまでの期間短縮によるサービスの迅速化や、年間の打ち上げ可能機数を増やすことで、「迅速に打ち上げたい」という利用者の声に応えます。

そのために、ロケット組み立て工程や、衛星のロケット搭載などの射場整備期間をH-IIAロケットから半分以下に短縮します。

高信頼性(High reliability)

H-IIAロケットの高い打ち上げ成功率とオンタイム打ち上げ率(予定した日時に打ち上げられる率)を継承し、確実に打ち上がるロケットにします。

低価格(High cost performance)

宇宙専用の部品ではなく自動車など国内の他産業の優れた民生品を活用するとともに、生産の仕方についても受注生産から一般工業製品のようなライン生産に近づけることで、打ち上げ価格を低減させます。

固体ロケットブースタを装着しない軽量形態(主に低軌道の打ち上げに用いる想定)で約50億円の打ち上げ価格を目指しています。

溜池ジロ

MMX計画にとどまらず、未来のロケット商用化に向けた意図を感じます!

今年7月にはUAEの火星探査プロジェクト『HOPE』でも三菱重工のH-IIAロケットが採用されています。

IHIエアロスペース…探査機用推進装置

IHIエアロスペース 会社HPより引用

前回の記事でも何度も名前が上がりましたが、今回のMMX計画にもIHIエアロスペースが参画しています。

今回は、探査機も心臓部といえる『推進装置』つまりエンジンを担当しています。

MMX の探査機は,火星周回軌道に探査機を投入する往路モジュール,火星近傍での活動や地球へ帰還するための復路モジュール,火星近傍での探査を行う探査モジュールで構成されています。

IHIエアロスペースの受注した推進装置は,往路・復路モジュールにそれぞれ搭載され,探査機を目的の軌道へ投入するための加減速や姿勢制御に使用されます。

これまでにも、国内外メーカーの人工衛星や、宇宙ステーション補給機「こうのとり」(HTV)などへ、多数の推進装置を供給しています。これらの衛星用推進装置の性能や実績が評価され,今回,MMX の探査機へ搭載が決定しました。

※人工衛星を衛星軌道に乗せるためのエンジンの納入実績がIHIエアロスペースはずば抜けており、推進系といえばIHIエアロスペースなのかもしれません(私が知らなかっただけ。。)

ちなみに『はやぶさ2』の推進系はイオンエンジンはNEC、化学エンジンは三菱重工の担当です。

明星電気…望遠カメラ・広角分光カメラ・惑星空間放射線環境モニタ

IHIエアロスペース 会社HPより引用

IHIのグループ企業である明星電気も、はやぶさ2に引き続き、MMX計画にも携わります。(IHIエアロスペースといい、恐るべしIHI。。)

MMXプロジェクトにおいて、明星電気は望遠カメラ、広角分光カメラ、惑星空間放射線環境モニタなど6機器の開発をスタートしています。

製品ラインナップを見ても、衛星搭載用の送受信機やモニタなど、幅広く部品の開発・製造を手がけています。

その他のパートナー企業

資料53-4『 火星衛星探査計画(MMX)のプロジェクト移行審査の結果について』より抜粋
科学技術・学術審議会/研究計画・評価分科会/宇宙開発利用部会(第53回R2.2.19)

前述で紹介した企業以外にも多くの企業がJAXAのパートナー企業としてMMX計画に参画しています。

残念ながら、すべての企業の担当品目は現時点で不明な点も多かったため、調査できた範囲でまとめています。

※WEBで公開されているJAXA発信のMMX計画に関する資料には、下記リストの企業がMMX計画において、何等かの役割を請け負うと明記されています。

JAXAパートナー企業担当部品・システム
三菱電機探査システムの開発・設計
三菱重工業打ち上げロケット
NECレーザ高度計(LIDER)
明星電気望遠カメラ、広角分光カメラ、惑星空間放射線環境モニタなど
住友重機械工業サンプル採取関連装置
川崎重工業衝突装置(SCI)、再突入カプセル、サンプラホーン
日本飛行機(NIPPI) 
IHIエアロスペース推進装置、耐熱カプセルなど
WEL 
日本通信機(Nitsuki) 
エイ・イー・エス(AES) 
宇宙技術開発(SED) 
フジクラカプセル用パラシュート
富士通 
有人宇宙システム(JAMSS) 

各企業の担当品目については、判明次第、随時更新していく予定です!

前回『はやぶさ2』のパートナー企業とも重複している企業が多く、やはり宇宙産業に関われる企業は数が限られていることがわかります。

明星電気IHI日本飛行機川崎重工業のグループ企業であり、巨大な親企業がバックについており、安定している印象です。大企業になればなるほど、事業部の数も増え、採用人数も増えるため、自分が携わりたい分野に配属される可能性も低くなります。

もし、明確に自分のやりたいことがあり、その内容にマッチする企業であれば、就活や転職活動をする上で、上記のような小粒でもキラリと光る企業を選択するのもオススメです!

まとめ

溜池ジロ

今回は2024年に打ち上げを控える『MMX計画』に携わる企業について紹介しました!

各企業での開発・設計は2020年からようやく本格始動となっており、各メーカの情報があまりオープンになっていません。情報入手次第、随時更新していきます。

今回は『MMX計画』の担当企業を紹介しました。就職・転職を検討する上で、少しでも企業選びの視野が広がれば幸いです。

次回以降も、ロケットや人工衛星などの宇宙産業に携わるサプライヤーについて、記事にしていきたいと思いますので、連載を応援していただける方は、ブクマかSNSで拡散お願いします!(笑)

ここまで目を通していただきありがとうございました!

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